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愛と感謝の綴り~縁を絆で紡ぐ~ by Adomatic

『凪のお暇』 #「でもゴンさんと居ないとき息してないみたいで。」慎二編

ご無沙汰しております。

書こう、書こうと思いながら、ひとりで野木亜紀子さん・黒木華さん祭りをしておりました。

重版出来!』から『獣になれない私たち』を続けて観た押しました。笑

何だか華ちゃんの芝居を観たくなって。

dTVにある野木作品、華ちゃん主演のものを観た押しました。

そして、、、6話がある今日に至りました。

さて、今回も新たな試みとして、書きたい人物ごとに書いてみたいと思います。

慎二編GO!

(この先『凪のお暇』第5話のネタバレありです。)

 雨が降る中、伝えたいと思っていた言葉は吹っ飛んだ。

こんな変わり果てた凪を目の前に、自分への後悔、何をどう伝えればいいのかも、どう接したらいいのかもわからなくなった。

ただ、泪だけが溢れて止まらない。。。

 

こいつ、誰だよ。

 

慎二「お前さ、、、マジですべってんなよ。」

凪「慎二、もしかして泣いてるの?」

こいつ、誰だよ。

慎二「ドブスがっ!」

凪「は?」

慎二「何で俺が泣くんだよ。雨だ、雨。」

泪を誤魔化すために神様が雨を降らせてくれたんだな、あぁ日頃の行いがいいんだな、俺。笑

神様、、、ありがとう。

そう思ってたら、開き直り?もう止まらない、止められない。

慎二「むしろ滑り倒してるお前に笑けてくるくらいだわ。」

凪「そう。笑っていてくれて光栄だよ。じゃ、これで。」

でも、、、でも。

慎二「本当にあんなヤツでいいんだな?!」

凪「で、じゃないよ。が、いいんだよ。」

で、じゃなくて、が、か。

そりゃ全然違うわな、意味が。

あんなヤツがいいんだ。

凪、お前は俺に対してそんな風に想ってくれたこと、あったか?

凪「話し、、、聞いてくれて、笑わせてくれて、知らない世界を教えてくれて、ほっとさせてくれて、私、ゴンさんと居ると空気がおいしいの。」

俺と一緒に居たときの空気はどうだったんだよ。

教えてくれよ、凪。

慎二「じゃあ、お前、その空気の旨味だけの為に、また空気読んでやっていくんだ。散々空気読んでぶっ倒れた前みたいに。」

 

認めない、、、俺は認めない。

絶対認めない。

 

凪「読んでないっ!」

慎二「は?」

凪「私、もう空気読んでないっ!」

慎二「は?読みまくってっからそんな頭になってんじゃねぇか。」

凪「読んでないっ!」

 

何で俺じゃなくてアイツなんだよ。

わっかんねぇよ、わかんねぇことだらけだよ、教えてくれよ、凪。

なぁ、凪。

どう考えてもあのメンヘラ製造機よりも俺がお前を幸せに出来るって。

俺がお前を幸せにしてやりたいんだよ、俺がお前を幸せにしたいんだ。

一緒に幸せな家族を作りたいんだよ。 

楽しかったよな?あの時間。

幸せだったろ?

なぁ、、、凪、教えてくれよ、凪。

慎二「読んでんじゃねぇか。もじゃもじゃの、ありのまま気取りのブスになり下がったかと思ったら、今度はボロアパートの隣のゆる男に食われて闇落ちしてんじゃねぇか、ゾンビみたいなツラして。イキったところで結局お前はビクビクオドオド周りの空気読んで自分を誤魔化して生きてくんだよ!言っただろ!お前は絶対変われない!」

いや、変われないのは俺だ。

結局俺はあの鰯にはなれない。

 

そして俺は渾身の一撃をくらった。

 俺は滝のような雨に打たれて、ずぶ濡れで、思考回路も滅茶苦茶で、凪に何を言ったのかも覚えてないような、朦朧としたなかで気が付いたらバブルの店の前に居た。

いつものように話しを聞いてもらって、駄目出しをしてもらいたかったんだろう。

ここは唯一俺が俺のままで話しが出来た場所だったから。

でもいつもの派手なピンクのネオンは消えていた。

 

“2号店開店準備のため しばらくお休みします スナックバブル ママ”

 

あぁ、クソ寒いなぁ。

 

背筋にゾクっとする感覚を覚えながら、店を後にした。

マンションに帰ると悪寒を感じ咳は止まらなくなってた。

とりあえず着替えて、怠い足で階段を上りベットに傾れ込む。

「あぁ、くそ。」

そういえば、、、前に風邪ひいたとき、凪が看病してくれたな。

仕事終わりに俺が寝込んでるマンションに寄ってくれて、手早くお粥作ってくれて。

「大丈夫?お粥食べるの無理そうだったらせめてこれ飲んで。大根汁、喉にすごくいいの。」

熱で朦朧としているせいか、過去と現実が重なり過ぎたのか、俺は大根汁が入ったカップを取ろう手を伸ばしていた。

「もう、、、居ない。」

 

馬鹿か俺は。

過去なんだよ、もう。

現実はもう俺の傍に凪は居ないんだ。

 

「だよ、もう居ないんだよ、うん。」

そして俺は凪を想うもの全てを袋に入れた。

全部だ、全部、ぜーんぶ。

捨てなきゃ、消さなきゃ。

この部屋から凪を消さなきゃ、俺も壊れる。

思い当たるもの、目につくもの全部袋に入れた。

 

あの鰯も。

 

こんなにあったんだなぁ。

それだけ長い時間ここで凪と一緒の時間を過ごしてたんだ。

それから消せなかった凪がいなくなったLINEも、繋がらない携帯番号も通話履歴も写真も削除した。

ぐるっと部屋を見渡すと、俺の部屋で凪が育ててた豆苗が目にいった。

凪がこの部屋に来ることはもうない、、、俺のために楽しそうに料理してくれることはもうないんだ。

俺はおもむろに豆苗を手に取り袋に入れた。

「おぉー、これが人生リセットってやつか。うん、尊いわ。」

さよならだっ!!